★★★★★★★★★★
WOWOWで。
アウシュビッツ強制収容所が舞台。
ユダヤ人収容者でガス室で殺された人たちの処理作業に従事しているゾンダーコマンドと呼ばれる役割のある男が主人公。
画面は本編部分は4:3のスタンダード。
カメラは手持ちで、胸から上のアップがほとんど、しかも被写界震度がかなり浅いために、背景はボケている。
だから周囲の状況がハッキリ映るシーンはほとんどなく、なんとなく、の雰囲気で判断するしかない。
その分、音声はサラウンドなので、その場その場の雰囲気は如実に分かる。特に銃声やガス室での悲鳴はかなり恐ろしい。
簡易的とは言え、こういう雰囲気を味わうためにサラウンドのシステムを組んだわけだし、用意しておいて良かったと思った。
それを踏まえて、この映画は映像、音声で当時のアウシュビッツ収容所の収容者の様子を一番再現していると思う。
主人公の彼は、亡くなった息子を埋葬したいためにラビを探しに奔走し、看守の目を盗んで穴を掘ろうとする。
平時であれば、至極真っ当な行動だけれど、それが行われるのが狂気をはるかに通り越した時と場所。
狂気の中の狂気と言ってしまえば、それまでだし、その気持ちは心情的に理解できるのだけれど、不気味さと恐怖さが先に立って頭ではなかなか理解できない。
あの子供は本当に彼の息子なのか、それがハッキリしないこともあって、始まりから終わりまで居心地の悪さを感じた。
トータルの映画としての意義、スゴさは十二分に理解できるのだけれど、もう一度観たいかとなると何とも言えない。
また目を背けたくなるシーンばかりなので、他の人に勧められるかどうかも何とも言えない。
だから星を10個としたけれど、果たしてそれが適当なのかどうか、それも分からない。