★★★★★★★★☆☆
1936年製作の松竹作品。
伊豆半島を走るバスの中が舞台。運転手であり主人公は街道を行く人を追い抜く際に「ありがとぉー」と声をかけることから「有難うさん」と呼ばれる人物(だから英題は「Mr.Thank You」!)。
バスに乗り合わせた立派なヒゲを生やした<紳士>が軽いコメディ・リリーフ。彼の存在もあって、車窓から見える景色も含めて実にほのぼのとしている。
しかし、同じ乗客の中に東京に身売りに出される娘とその母親が乗っていたり、途中追い抜く中に朝鮮人労務者の団体がいたりして少々影がある。時代のせいだと思うけれども、明るくドライに徹した映画ではない。
ただ演出は軽妙で(現在の目で見るとゆっくりとしているが)テンポもあるので、観ていて楽しい映画であるのは間違いがない。