★★★★★★★☆☆☆
MOVIX八尾で。
南北戦争の最後の年に憲法修正13条が成立するかどうか?が中心のドラマ。
この憲法修正13条というところに奴隷制度の廃止が謳われているそうで、それより前に出された奴隷解放宣言は文字通りの宣言でしかなく、法的拘束力がないそうな(知らなかった)。
だから奴隷制度の廃止を達成するには、この憲法修正13条が上下両院で可決されないことには単なるお題目となり、南北戦争自体の意味が変わってくる。
大統領と同じ共和党が大多数を占める上院では可決されたものの、下院では民主党勢力が強く、可決されるかどうか微妙。
そのためにどう工作し、奴隷制度の廃止と戦争終結を達したかを描いている。
監督がスピルバーグ、主演がダニエル・デイ・ルイスですから、最低限のクオリティを有するものになっているだろうことは、観る前から分かっていること。
だから、この映画も2時間半という長丁場と入場料を「損した!」と思わせない程度のものにはなっている。
ただ、内容が内容だけに、基本的にはアメリカ人向け。例えて言うなら、<新撰組>とか<坂本龍馬>の史実を元にした映画や大河ドラマみたいなもので、アメリカの歴史にそれほど詳しくない日本人には少々退屈。
加えて、アメリカ愛国主義を刺激する映画でもある。<スピルバーグ>、<リンカーン>と聞いた時点でどうして気が付かなかったのだろう?
リンカーン大統領という人は愚直なまでに自分の信念に従ったということはよく分かった。
そういう意味では、「スミス都へ行く」と同じ題材で、政治家諸氏が一番に観るべき映画だと思う。
また南北戦争終結後、南軍のリー将軍が降伏を宣しに来る前、グラント将軍に「戦争の最後を虐殺で終わらせるのはイヤだ」(大意)、つまり南軍兵はすぐに家に帰し、南部の指導者層が逃亡するのも見逃す、という意味のことを言う。
その後のアメリカが行った戦争のことを考えると、リンカーンの思想は受け継がれていないことがよく分かる。
この辺が言いたかったのではないでしょうか。